2007.7.28 喉の異常な渇きが消えたこと

 

慢性腎不全の患者が共通に不自由と感じるものは、口から入るものが制限されることがある。 でも食べ物に関しては、カリウムのように特に摂取量を注意しなければならないことを除けば、比較的自由に食べることができる感覚が一応身についてはいる。  しかし透析を開始して約20年以上、透析治療は慣れても水分制限による異常な喉の渇きだけは、どういうわけか一向に変化が見られなかった。(ちなみに私の場合、1日の水分量はおおよそ約500mlである)  とにかく視界に飲み物が入れば常に飲みたいという欲求が湧き、ちょっと時間に余裕ができれば何かを飲みたくなる、というように決して癒えることのない喉の渇きを感じていた。  医師からもともと透析患者は喉が渇くらしいと聞いたことがあるが、決定的な対処法がないのが現状だろう。 (喉を渇きにくくするスプレーなどはあるらしいが・・) 昨年の4月頃、それは脳出血後に徐々に記憶の回復しはじめた頃なのだが、ある日「喉が渇いたな」と感じて飲み物を口へ運び、ゴクンと飲みこむと全然おいしく感じられなかった。  今私は飲みたいと感じて飲んだのに、身体の方は飲みたいと思っていなかったのだろうか・・と不思議であった。 はじめは何か体に異変が起きているのではないかと感じた。  そして気持ち的には飲みたいのに、実際飲んでみると全くおいしくないことがしばらく頻繁に続いた。  このような状態が続くと次第に飲み物に手を出してみるが、またたぶんおいしくは感じられないのかもしれないと思い、次第に飲みたい欲求があっても飲み物に手を出さないようになった。  でも暑いときや塩分が高い食事を摂った飲み物はおいしいと感じられるので、気持ちにゆとりが保たれてきた感じがしてきた。 今では本当に飲みたくないとき(飲んでもおいしくないと感じるとき)には、飲みたい欲求は起こらなくなっている。 今まであんなに始終おいしいと感じていた飲み物をおいしく感じられないことが多くなり、ちょっとさみしい感じがした。(こう考えると、水分中毒に近いものがあったのだろうか・・・)  最近は外食は少なく、食事はほとんど自宅で調理しているので、このことが次第に喉を渇きにくくさせたのではないかという気はする。  でもある日突然喉の渇きに変化が起きたこともまた事実である。  現在喉の渇きがおさまったのは、認知運動療法の影響であるという根拠はないが、何か関係があるような気がしている。  認知運動療法の治療効果は、ひとつの側面には緊張を解くことがある。 手足の緊張を解くだけでなく、精神的な緊張を解く(透析患者は厳しい水分摂取が一生付きまとい、飲みすぎたら心不全になるという緊張感) こともできてしまうのかもしれない、と感じている。