利き手であった右手がマヒしていたので、当然左手で字を書いていたのだが、必要以上に辞書を引いている気は
していた。 パソコンで漢字が書けなくなった人が多くなったとしても、私の場合は小学生で習う漢字を何度も
辞書を引いていたので、記憶が劣っていると思っていた。
しかし最近になって、急にヴァイオリンの弓が持ちたくなったり、右手で漢字を書くイメージできることに加え
右手は「字を書いていたという記憶」を思い出した。
それまで私は「冷」という字を書くときには常に辞書を引いていた。 理由は活字の「冷」では最後の画は縦の
棒であるが、他人の手書きによる「冷」では、まっすぐな棒ではなく左に傾いていて、自然な書き方がつかめ
ずに、覚えることができなかったように思う。 人の書いた字を真似ればよいのに・・と自分では思うのだが、
ここまで簡単な漢字を必死に真似ようとすることに抵抗感があったのかもしれない。
しかたなく最後の画は、辞書にある「縦の棒」と、他人の書く「傾いている棒」の中間の「冷」の字を書くよう
にしていた。
頭の中で右手で漢字を書くイメージができるのなら、例の「冷」の字はどのようにイメージできるのか試した
ところ、はっきり昔自分で書いていた「冷」を思い出すことができた。 最後の画は、カタカナの「マ」に似て
いた。 今では辞書を引く機会はめっきり減った。